ABOUT
研究内容
STUDY 01
医師や看護師が遠隔で患者さんの状態を確認し、
安心で安全な輸血を実現します。
在宅輸血は通院困難患者にとって大きなメリットがありますが、輸血時の合併症発症のリスクおよびその対処に課題があります。在宅輸血患者の安全性確保のため、日本輸血・細胞治療学会から「在宅赤血球輸血ガイド」が公開され、医療者が患者宅を退出後も、患者を見守る患者付添人の同席が必須とされています。輸血実施時間を通して、医療者が常に付き添う体制は理想ですが、多忙な在宅医療現場では難しい場合があります。医療者が付き添えない輸血時間帯に、在宅の患者さんの状態をICTを用いてモニターする研究を行っています。
遠隔リアルタイムバイタルモニター
自宅にいる患者さんのバイタルデータをスマートフォンなどを利用し遠隔地でモニターします。
上図のシステムは、心拍数と呼吸数をマット式センサーから計測するWebベースの遠隔モニタリングシステム「おだやかタイム🄬」と、ネットワーク対応の多機能ポータブル心電計「CarPod」、Bluetooth搭載のSpO2モニターから構成されています。計測データは、インターネットを介して遠隔地からスマートフォン/タブレットPCでリアルタイムにモニタリングできます。(Health Sci Rep. 2021 Sep; 4(3): e380.)
また、もう少し簡便なシステムとして、下図のように患者宅のスマートフォンと心電計およびSpO2モニターをBluetooth連携し、心電図とSpO2(酸素飽和度)をリアルタイムにサーバーにアップロードすることで往診医のスマートフォンで心電図および心拍数、SpO2が確認できるシステムを利用し、安全な在宅輸血の見守りに役立つかの実証研究を行っています。
危険行動検知システムの在宅での運用概要
在宅輸血は、病院と違い患者さんの居室で実施するため、段差やいろいろなものを避けて点滴台を押しながらトイレに移動するのも困難です。ベッドに横たわっている状態からトイレ移動する際に、点滴台を倒して転んだりするなどの危険行動が起きる可能性があります。これを人工知能を用いてモニターするシステムを開発しました。あらかじめ輸血中の患者様の映像をZOOM🄬で共有しておき、ベッドサイドに設定したPCで危険行動検知システムを動かし、人工知能を用いて体位変換があった際に往診医に通知することで、転倒リスクの高い行動をした状況を映像で確認できます。
OpenVINO™ツールキットを用いた人間の映像から姿勢推定を行う機械学習済みのモデル(2D人物姿勢推定モデル)を利用して、在宅輸血中の体位変換に伴う危険行動を検出するためのシステムを開発。(インテル社と共同研究)
ミリ波による転倒検知
ミリ波センサーはレーダーを用いて、患者さんの位置や動作を検出するため、映像を用いないことが特徴です。その為、プライバシーに配慮した転倒などの危険行動の検知に役立ちます。(富士通研究所と共同研究)
STUDY 02
地域のどの病院でも医療情報を共有、災害時でも有効な情報管理を目指します。
医療情報部は、きのくに医療連携システム(青洲リンク)の運営を行っています。
医療情報連携とは、医療機関同士の診療情報を相互参照する仕組みです。患者さんは、他の病院で実施した検査結果や処方、画像情報を紹介先の病院で参照してもらえる利便性があります。また、2022年より、和歌山県立医大でPHRの運用を行っています。PHRとは、Personal Health Recordといって患者さん自身が自分の医療データをスマートフォンなどで管理できる仕組みです。(PSP社NOBORIを利用)
青洲リンクの詳細についてはhttp://www.seishu-link.jp/でご確認ください。
STUDY 03
スマートグラス型 医療安全システムで、
医師の育成補助と医療ミスの減少を実現します。
多忙な医療現場での医療ミスの減少を目的に、医療行為に応じて、適切な注意喚起情報をスマートグラスに表示するシステムを和歌山大学システム工学部と共同で開発しました。医療行為の特定は、医療者がスマートグラスをかけると、その場面の映像中の医療機器をAIを使って認識することで、医療行為を特定します。特定した医療行為に対する注意喚起情報をスマートグラスに表示します。
(西川彰則, 吉野孝:特開2022-133949 医療支援システム及び医療支援方法)